小石川えん罪事件のブログ

東京・小石川で発生したえん罪事件を支援しています

間違いだらけだった裁判所の判断(その1)

 ウソの自白を信用できるものとして、 伊原さんを強盗殺人の犯入であるとした裁判所の判断には、誤りが多くあります。

 

・真犯人のDNA型が検出

 被害者の⼞の中に押し込まれていたタオルからは、伊原さんのDNA型とー致するDNA型は検出されていません。しかも、 この夕オルからは、被害者や伊原さんとも異なる型のDNA型が検出されています。犯人はタオルを被害者の口に無理に押し込んだのですから、このDNA型は真犯人のものとしか考えられません。

 

密室で作られたウソの自白

    警察が伊原さんに強要した「自白」は以下の通り
です。
    お金を盗もうと思って被害者の部屋を覗いてみる
と、被害者が奥の台所の方を向いて洗い物かなにか
していて、こちらを振り向く気配がなかったので、
その隙にお金を盗めると思って部屋に侵入し、整理
タンスの上の小物入れの開き戸に手をかけました。
するとそのとき、被害者が振リ返って私の顔を見て
びっくりしたような顔をしたので、私は、「まずい、
見られた。声を出されちゃまずい」と思い、とっさ
にテーブル近くの床に置かれていたタオルを手に取
り、被害者の背後からタオルを被害者の口に押し当
ててうしろに引き倒しました。倒れた被害者の口に
当てたタオルを両手でカー杯押さえると、身体をゆ
すって抵抗されたので、私は自分の左ひじを被害者
の右胸辺りに当て、自分の身体の左側を被害者の左
わき腹辺りに強く当てるような体勢で強く押さえつ
けました。被害者の口からタオルを放せば、大声を
出されて自分のやったことが発覚してしまうと考え
て、声を出されないように、タオルをカー杯その口
の中に押し込んでいきました。しばらくすると被害
者はぐったりして動かなくなったので、被害者が死
んだと分かりました。それから私は小物入れの開き
戸を開けたり、タンスの小引出しの中を物色したり
して、小引出しの中にあったお札の入った紫色のが
ま口を盗んで部屋の外に出ました…… これが取調室
という密室で作られた、ウソの「自白」です。

なぜウソの自白をしてしまったのか

 伊原さんは、別件の窃盗事件で起訴され、その身体拘束中に小石川事件について長時間、繰り返し繰リ返し取り調べを受けました。しかもその取り調べでは、自白するまでトイレに行かせない、また、捜査官が頭を平手ではたくといった不当な行為が行われ、捜査官は伊原さんに虚偽の事実(伊原さんの飼っていたウサギの毛が被害者の死体の下から発見されたという)を告げて、伊原さんを追い詰めました。

 このように自白を強要された伊原さんは、精神的に追い詰められて、疲れ果ててしまい、何を言ってもムダとの思いで、ついにウソの自白をしてしまったのです。

 

小石川えん罪事件をご存じですか?

◇小石川えん罪事件とは?

 2002年7月31日に、東京都文京区の小石川で発生した強盗殺人事件です。事件現場は木造2階建てのアパートです。

 翌8月1日の朝、このアパートの一室に住んでいた一人暮らしの女性(当時84歳)が、自室で、タオルを口の中に押し込まれて死亡しているのが発見されました。

 犯人とされた伊原康介さん(当時21歳)は、このアパートの別の部屋で暮らしていて、この事件の容疑者として疑われ、警察から事情聴取を受けていました。そんな中、伊原さんは事件から約1か月後に同じアパートに住むMさん(強盗殺人事件の被害者とは別の人)の部屋で、現金を盗み、翌日に逮捕されました。

◇ウソの自白で起訴⇒有罪に

 Mさん方への窃盗で逮捕された伊原さんは、この犯行については罪を認め窃盗罪で起訴されました。ところが、起訴後の身体拘束の間に、警察は、伊原さんを強盗殺人事件について長時間、執拗に取り調べたのです。伊原さんは当初、自分はやっていないと否認していましたが、その年の12月19日に、犯行を認めるウソの自白をしてしまいました。

 伊原さんは強盗殺人罪で起訴されましたが、公判では、一貫して無実を主張し続けました。しかし裁判所は、取調室という密室でなされたウソの自白を信用できるものと判断して、伊原さんを犯人と認定し無期懲役刑を言い渡しました。その後、控訴審を経て、2005年6月に上告棄却決定がなされ、有罪判決が確定しました。

◇誤った裁判のやり直しを求めて

 伊原さんは千葉刑務所に服役中ですが、「私は無実だ」と訴え続けています。みなさんのご支援をお願いします。